片山右京の限りなき挑戦 全3回シリーズ 1st stage 挑戦や冒険すること
LIFE WORK 唯一のオフ、それが自転車
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F1やパリダカなどモータリゼーションの真っただ中にいながら、僕の趣味は自転車。エコへの取り組みかと思われるかもしれませんが、実は単純に好きだから(笑)。自転車に乗るのが僕にとって唯一のオフですね。小学3年生の時、もらってきた自転車を自分で直してサイクリングに行き始めたのがきっかけです。最初は相模湖まで、それからどんどん足を伸ばし、5年生になるとフェリーで松阪まで行って東海道を一人で走ってきたり。自転車は僕にとって最初の冒険ツールでした。冒険ですからいろんなことが起こります。不良に絡まれたり、お巡りさんに家出と間違われたり…。土砂降りの大菩薩峠では、荷物が雨を含んで車体がオートバイぐらいの重さになってしまって、もう漕げなくて、坂道を4時間も5時間も押して…でも、誰も助けてくれない。この頃の冒険で、かなり鍛えられたんだと思います。
自転車は心の底からエンジョイできるもの 自転車は心の底からエンジョイできるもの
車では感じられないもの。歩いては行けない距離
今でもトラブルはしょっちゅう! 時間を見つけて日本縦断に挑戦してるんですが、阿蘇山の上でこのまま凍死するんじゃないかって短パン半袖で思ったり、天草諸島で風が強くて進めなかったり。日本の最高到達地点まで足着かないで漕いでいくと挑んだら、体調悪くて吐いてしまい…でもやめるのはくやしいから、押しながら上がって行きました。子供の頃を思い出して「俺って全然変わってないな」なんて。
レースにも出るからハイスペックな競技用の自転車に乗っています。これが本当に速いんです。平地で50km/hは当たり前、下りだと100km/h出るんです。速さのためにギア1つで何十万円もかかる場合もありますが、乗ってみたらわかります。パーツを選んだりというのも楽しい。そういう意味でも、ハマりますよ。
競技車はギアやパーツのセッティングも楽しく、メカニカルなものが好きな人にはオススメ
競技車はギアやパーツのセッティングも楽しく、メカニカルなものが好きな人にはオススメ
ちなみに、大阪の仕事が終わって次の日が休みなら、東京まで自転車で帰ろうかな、って思ってしまいます。いつも静岡ぐらいまでなら自転車です。渋滞の影響も受けず、そのほうが速いから。それにトレーニングにもなるし、車では感じられないものを、歩いては行けない距離を、味わえるんです。
子供の時以来、自転車は自然と生活にあるもの。本当にエンジョイしてますね。でも、一生を通して取り組んでいくのは、実は『山登り』なんです。様々な競技やスポーツに挑戦していますが、登山については特別な思いがありますね。(2nd stageに続く)
片山右京(かたやま・うきょう)
Profile
片山右京(かたやま・うきょう)
1963年生まれ。1992年よりF1レーサーとして6年間連続で活躍する。登山家としての顔も持ち、2006年には世界第8位のマナスル(8163m)の登頂に成功する。さらに2007年パリ・ダカールラリーでは、バイオディーゼル燃料にて出走し、完走を果たすとともに大きな話題を呼んだ。
2nd stage 「登山家として、“本物”を目指して」へ
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