片山右京の限りなき挑戦 全3回シリーズ 1st stage 挑戦や冒険すること
TRIAL パリダカ2007完走を振り返る
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今年の1月、家庭から出るてんぷら油を精製したBDF(バイオディーゼル燃料)で走る車で、パリダカ(ユーロミルホー・ダカールラリー2007)を完走しました。
実は、この、BDF100%の燃料でパリダカに出場するというのは世界初のことなんです。京都では清掃車が既にBDFで走っていますが、一般の実用化に耐えうるのかはまだ疑問の声も大きくて、僕はそれも踏まえて2年前からBDFを試してきました。そして昨年のアジアクロスカントリーラリーで完走できたんです。
そしていよいよパリダカ参戦です。世界一過酷なレースですし、クルマへの負荷も生半可じゃありません。でも、だからこそ、ここで完走できればBDFへの認識を大きく変えることができると思いまして。
 環境に優しいバイオ燃料で砂漠を走破する
環境に優しいバイオ燃料で砂漠を走破する
しかし実際に灼熱の砂漠を走ると、車内の温度は50度を超えます。そこでアクセルを長時間全開にしていたら燃費はどうなる、エンジンは壊れないのか……そんな様々なトラブルを想定して研究を重ねました。結果的には、リッター5.7kmも走って燃費も良く、パワーも問題なく、完走を果たしました。 これで、自分たちの燃料が大丈夫だと確信が持てました。
これには行政も驚き、3月には『BDF推進委員会』ができたんです。もちろん、すぐにBDFが普及するわけじゃありません。でも、これでスタート地点に確実に立てた気がします。単なるパフォーマンスではなく、きちんとしたビジネスプランとして、企業も世界も動いていけるだけの計画を、これから進めて行こうと思っています。
世界で一番大きいチームだったと思う
パリダカでのBDFによる完走は、自分たちのできること、それに挑戦した、ということなんです。3年前にマナスル登頂に失敗したとき、ベースキャンプで話をしていて、氷河がこの35年に6kmも上がっているという事実を聞きました。何千年も地球は変わらなかったのに、たった35年でこうなっている…。今まで、いわば車を売るためにプロのドライバーをやってきましたが、それじゃいけない。100年後の地球をなんとかしなきゃならない。そこで、使用済みてんぷら油を精製した燃料で走る車を完成させました。
天ぷら油をわざわざ持ってきてくれた京都の方々を始め、多くの方達のおかげで成功したプロジェクトですから、僕達は間違いなく“世界で一番大きいチーム”だったと思います。
プロジェクトに共感してくれた仲間みんなのおかけで達成できた
プロジェクトに共感してくれた仲間みんなのおかけで達成できた
そしてこういう思想的なところが、まさに僕の時計であるヴァルカンに通じると思っています。
自分たちは微力ながら時間を掛けて取り組んでいることがあって、それがヴァルカンのイメージやフィロソフィーと通じる気がするんです。僕にとってヴァルカンとは、“挑戦”と“冒険”のイメージ。僕はこの挑戦と冒険から、未来につなげていきたいと思います。
ただ、このBDFでの挑戦は大きいように見えて、実は僕は決してそうは思っていないんです。だって、これは当たり前のことですから。100年後の子供達に渡す地球のことを考えるなんて当たり前のことです。20年後には、BDFは普通にガソリンスタンドで売っていて、「軽油にしますか、BDFにしますか?」となっているはずです。
挑戦と冒険の心を鼓舞してくれるVULCAIN
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