今のハミルトンに代表される第四世代は、英才教育で育てられた世代とも違って、確実に“進化”している人間と言えますね。大袈裟に言えば「宇宙人」みたいなものです(笑)。彼らは教育というよりは、環境や習慣などによって自然と磨かれてきた原石ですから、輝きが違います。実際にクルマの挙動を感じるオシリと全身に判断を下す脳が完全に直結しているような、人間の能力を遥かに超えた“速さ”を見せてくれますからね。もちろんまだ荒削りな部分もあるのですが、こういう世代の進化を通じて、F1自体に大きなウネリというか未知数の変化を感じました。
実際、来年からはレギュレーションも変化して、トラクション・コントロール(※)などが禁止されます。これによって、より一層マシンを操る人間の感性とかセンスとかが際立ってきますので、まったく予測のつかない状況がやってくるはずです。技術の進化はもちろん、人間の進化、そして大きな過渡期をむかえたF1……来年は予測がつかないことこそ、見どころと言えるかもしれません。 |
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1997年当時の写真。ミナルディーチームのドライバーとして活躍 |