ご購入頂きました時計を最良の状態で末永くお使い頂く為には定期的なオーバーホールは不可欠なものとなります。
ムーブメントに使用している油は時計の使用頻度に関係なく年月の経過と共に徐々に酸化し、そのまま使用すると部品の摩耗の原因となります。また歯車などから出る金属粉は精度不良などが起きやすくなり、そのまま放置しますと故障の原因となります。
ムーブメント内部から出る金属粉や汚れを洗浄し、注油や精度調整等を行うオーバーホールは通常3年毎に1回程度行う事をお勧め致します。
弊社ではお預かり致しましたお客様の時計を世界最高水準のメンテナンス工房にて以下の手順にてオーバーホールさせて頂いております。
はじめにお客様からお預かりした時計の不具合箇所を外観(ガラスの欠損・ケースやブレスレット、革バンドの状態)、機能(リュウズやプッシュボタンの機能検査、時計の針回し具合のチェック、アラームの振動音、共振音の正否チェック、防水性の検査)、精度(ムーブメントのタイミング、テンプの振り角、片振り)などの検査をすべて行い、想定される不具合の原因をすべて考察します。
時計の裏蓋を専用の工具を使用して慎重に開けます。
ムーブメントの巻き芯(リュウズの芯棒)を固定しているネジを緩めてリュウズを拭き取り、ケースにムーブメントを直接固定している留めネジ2本を取り外して、針と文字盤がセットされたムーブメントをケースから取り出します。


洗浄機で洗い上げられたムーブメントのパーツ類は残留磁気を帯びている可能性があるため、脱磁作業を行ってから組み立て作業に入ります。

タイミングの調整を行ったムーブメントに文字盤と針を取りつけ、ケース内部に組み込みます。
防水検査が完了した時計を二週間ほどワインディングマシーンにかけて各姿勢でのタイミングの経過テスト(ランニングテスト)を行い、不具合が無いかどうか最終検査を行います。
ランニングテストを行った結果、経過が良好であった時計は、オーバーホール作業を行った技術者とは別の技術者の手により最終検査(外観、機能、精度)を行い、合格した時計のみ完成品としてお客様のお手元へ届けられます。全ての作業が完了するまでにはおよそ1ヶ月の期間と要します。